Utsuwa-土に還る

造形研究科 美術研究領域

島田 菫零

Utsuwa-roof

Utsuwa-door

Utsuwa-front fender

Utsuwa-career

「形あるものが自然の流れの中で朽ちていく事に価値がある」とする循環の概念を基盤に し、捨てられた人工物を再生可能な自然素材や再利用可能な素材で作り替える制作をしてい ます。使用する和紙は楮を煮出して作製するなど、素材に一から直接触れるプロセスにも重 点を置き、自然との対話を追求しています。

Utsuwa-土に還る

和紙で張子し蝋引き /指導教員:白井 美穂

造形研究科 美術研究領域

島田 菫零

ZOKEI賞受賞作品について

都市生活者として改めて自然環境への強い憧れを抱き、物質の朽ちていく時間や自然の循環、生き物の生死について思考したことが制作の展開に結びついた。廃棄物である車のドアや屋根は、楮から手作業で形成した和紙と蜜蝋という素材による型取りを通して内部が空洞の物体に作り変えられ、空間に新たに配置されることで詩的な存在感を湛えている。同時に、これらの物質だけでなく私たち自身がやがて土に還るということ、自然の循環の一部となることを想起させる。身近なものに向けられた視線は、制作の実践を通して自身の生きる世界に対する意識の拡張に繋がったようだ。作品は現代社会における消費文化や環境問題についての批評ともなっている。

(教授 白井 美穂)