夜に触れる

デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻領域

KIM NAYEON

一日の終わりに暗がりが訪れると、昼間の満ちた活気は徐々に引き、穏やかな雰囲気が漂う。漆黒の夜空の暗がりと、微かに見える周囲の暗がり。その二つの暗がりの間に広がる微妙なグラデーションには、穏やかさと深みを感じさせる美しさがある。さらに、ひんやりとした夜気に触れることで、心が落ち着き、夜の癒しの雰囲気が一層引き立てる。この夜の落ち着きと深みのある美しさを繊細な織物で表現した作品である。

夜に触れる

サイズ:300かけるサイズ:300×150×150材質 :シルク・ウール・二重織り・組織織り /指導教員:清家 弘幸

デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻領域

KIM NAYEON

ZOKEI賞受賞作品について

誰しもの日常にある移り行く夜を作品に仕立てた。作品は、夜を具象化した漆黒の織物であり、鑑賞者との関係により紡ぎ出される空間であり、それらが醸し出す静謐な雰囲気である。誰かと分かち合える作品になるために、暗さを、明るさを、光を感じる視覚に関する表現と効果について、冷たさを、温もりを、空気を感じる触覚に関する表現と効果について等々、検証を要する多くのことに対する試行を繰り返した。次から次に生じる思いがけない状況に真摯に向き合う過程で得られた専門的な知識と技術は、テキスタイルならびにテキスタイルデザインの進展に資する成果となった。ZOKEI賞を受賞するに相応しい精緻な作品であり、優れた研究である。

(教授 清家 弘幸)