生物

ZOKEI賞受賞作品について

渦巻くような空間に虎の縞模様を擬態化させて描いた1年の時から、一貫して生物に興味を持ちその形態を追求して制作してきた。生物の血管や樹木の観察から、相似した繰り返す形にリズム感やダイナミズムを発見し、このフラクタルな生命の構造から新しい生命体を作品として作り出すことを主題としている。自然界のこの基本的な形態をシルクスクリーンの版として、大きく長い布に繰り返し刷り重ね刷り連ねていくことは、無限に続いていく蓄積と広がりと持った画面を作り出した。これらの作品をインスタレーションした空間は、巨視感と微視感が入り混じる樹海のような空間を作り出し、その中に摩訶不思議な生命感を発生させている。

（教授 生嶋 順理）