stuffed animal
造形専攻 美術研究領域
岡村 海王
私の作品は「イメージのズレ」を可視化したものです。日常にありふれたデジタルメディア、中でも画像というものに魅力を感じます。音もなく動きもない、像を成した光の集合に私たちは確かに"正しさ"を見てるんです。信憑性のないコンテクストを読み取り、時には付与します。差し詰め、生前の姿を模った剥製のような。曖昧なコミュニケーションで生じる齟齬は新たな"正しさ"になって、生活の中で連鎖していくのだと思います。
stuffed animal
絵画 立体 /指導教員:豊嶋 康子
造形専攻 美術研究領域
ZOKEI賞受賞作品について
デジタル画像の脆弱性に、絵画的魅力を見出すのと同時に、動物の皮膚模様の生物学的な原理を学び、研究テーマ以上の世界が段階的に開けていく知的感動があった。動物の図像とフィギア、これらすでに流通によって社会的信用を獲得している「正しい」形を、ひとつの塊にする際に生じてしまう不一致を、量、質、配置そして照明、できるかぎり全方位から空間内において証した。同時に、イメージが固定される支持体自体が、多くの人々の営みによって構成された造形物であることをフィギアの発売元企業へ協力を申し出ていく際に経験し、その回路でも「画像メディアの表面性」が内包する世界の認識を大きく広げた。緻密な思考力と実行力の成果である。
(教授 豊嶋 康子)