木綿から紙を作り、紙からモノを作る研究

デザイン学科 インダストリアルデザイン専攻領域

平井 大心

服の裁断

着なくなったり、捨ててしまう木綿の衣類を細かく裁断し端切れにする。

紙漉き

繊維を均一に分散させる溶液と混ぜ合わせ、漉き枠を用いて紙を形成する。

張り子

3Dプリンタで出力した型に張り子をする。表面をやすりがけすることで滑らかな質感に仕上がる。

立体化の実験

紙を平面から立体にするため、紙の漉き方や漉き枠の形状、脱水方法などを検証した。

積まれた石の形状からインスピレーションを得た照明

積まれた石の絶妙なバランスとその位置関係を探ることで、木綿の軽さを効果的に表現した。

中世ヨーロッパの歴史を参考に、木綿の服から紙を制作した。木綿の紙は水に浸すことで繊維の絡まりが解け、再生できる特徴を持つ。筆記や印刷用紙などの平面的な使われ方に捉われず、立体にすることで再生可能なモノを増やすことを目的に進めた。本制作では、木綿の特徴である「繋ぎ目なく塊で作ることができる・転写・軽量」の3点を重視し、日常の道具に落とし込むことで実際に機能するかを確認した。

木綿から紙を作り、紙からモノを作る研究

木綿の古着、張り子 /指導教員:森田 敏昭

デザイン学科 インダストリアルデザイン専攻領域

平井 大心

ZOKEI賞受賞作品について

本研究はサスティナブルデザインを学ぶため無印良品の協力のもと、木綿の古着から紙に再生していた中世ヨーロッパの歴史を背景とした試みを、PBL授業として3年生から取り組んできた制作をベースに展開されている。
木綿から平面的な紙への制作を通して、立体的な造形を作るための制作を繰り返し行った。最終的に張子人形の製造技術を参照し、非接触型スキャナーや3Dプリンターなど、デジタル技術を駆使した新たな加工技術の提案にまで至った研究である。試行錯誤繰り返すことで、得られた経験の量によって非常に完成度の高い作品に仕上がっており高く評価できる。

(教授 森田 敏昭)