行き変わる

デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻領域

北島 あや

冬うらら

木洩れ日

陽炎

「ことば」から豊かな情景を感じる。日本古来の「ことば」には情景を細やかに表現するものが数多く存在する。美しい「ことば」に出会うたびその背景にある歴史や繊細な自然の様子を感じた。それらの「ことば」は他の言語で表現できるものはない。このテキスタイルは、「ことば」の持つ時間や変化といった背景を伝える存在を目指す。重なりによる色の変化や視点によって行き変わるテキスタイルを体感してほしい。

行き変わる

ほぐし織,もじり織 /指導教員:清家 弘幸

デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻領域

北島 あや

ZOKEI賞受賞作品について

色彩の緩やかな輪郭は、織物技法のひとつである解し織の効果である。また、独立した1枚1枚の透けた布が間を取って重なり、揺らぐ斑紋を伴う奥行きを生み出す様子は、織物技法のひとつである絡み織の効果である。さらに、不確かさを含み持った複数の布は、鑑賞者の機微と行合い、それぞれの時間や空間をつくり出す。はっきりさせることで違いや差が際立ち、さまざまな摩擦や対立により立ち現れる境界線を感じる時勢、立ち止まる時間や場所は問題解決の一助となるのではないだろうか。テキスタイルデザインにおける専門的な知識と高度な技術の総合による精巧な本作品は、真摯に試みと失敗を繰り返した研究の成果であり、寛容を感じる作品である。

(教授 清家 弘幸)