造形専攻 デザイン研究領域

黒山 真央

レースカーテン、刺繍 /指導教員:清家 弘幸

造形専攻 デザイン研究領域

黒山 真央

ZOKEI賞受賞作品について

自身の素性について、自己認識や帰属意識について、自分を映し出す媒介として在る「黒山家」を観照し、社会秩序の一つとして世代間連鎖し意識の中に根強く残存する「家」制度を通して、個人と共同体と社会の間に存在する不可視な境、正の相関にならざるを得ない囚われた関係の可視化を試みた。繋がりを求め、痕跡を探し、過去を内包した祖父母の衣服を糸に戻し、外界との仕切りであり「家」の象徴であるカーテンにそれらの糸を刺し込んだ作品は、卓越した手業により主観の侵入を冷静に管理した様が看取される。外光に照らされて平準化された向こう側、逆光を受けて陰影を落とすこちら側、立ち位置で異なる風景を表出させたことは特筆に値する。

(教授 清家 弘幸)