詩の翻訳の視覚的な可能性

造形専攻 デザイン研究領域

李馨瑶 / LIXINYAO

この作品を制作するきっかけは、私が文学の翻訳を通じて詩を読む際に抱いたデザインのアイデアにあり。『詩の不可翻訳性』を契機に、古典の詩をプログラミング技術を用いて視覚的に翻訳した。画面には『文字的性質』を排除し、視覚伝達の目的は視覚表現ツールの言語意識を模索し、テキストの豊かな思考を視覚形式に取り入れること。

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詩の翻訳の視覚的な可能性

メディア、紙、本 /指導教員:粟野 由美

造形専攻 デザイン研究領域

李馨瑶 / LIXINYAO

ZOKEI賞受賞作品について

研究成果は次の3メディアで構成される。
1)古今和歌集から選んだ16句につき、Plutchik提唱のemotional wheelに基づく日本の伝統色、代表的な5種類の脳波振動と感情分類、言葉のAI分析を要素に組んだプログラムで生成した映像とサウンドによるインスタレーション。
2)詩歌テキストと生成映像を照合するリアプロジェクション絵巻。
3)詩歌の視覚表現(タイポグラフィ)研究と1)のアルゴリズムを解説するブックレット、2分冊。
アルゴリズムには作家の恣意性による分岐があり、可逆性の点ではサイエンスではなくアートの手法だが、いずれも熟考を経た削ぎ落としと整理を経た優作であり、異言語間の翻訳のほころびを視聴覚感受で補完する試みは成功を収めている。

(教授 粟野 由美)